【AI連載小説】潮風がほどく夏 第03話「鶏飯の湯気」

今までのお話

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。

第03話 鶏飯の湯気

凪は透を祖母の店へ連れていった。椀のご飯に裂いた鶏肉、錦糸卵、椎茸、漬物、薬味をのせ、熱い鶏のだしをかける鶏飯が昼食だった。

だしを注ぐ音のあと、鶏飯の椀からふわりと香りが上がった。具を混ぜる凪の手つきには迷いがない。透は正解を探すように隣を真似しかけ、それから自分の好きな量を選んだ。

『東京の給食って毎日どんなの?』と聞かれ、透は短く答えた。凪はその短い返事からまた質問を見つける。会話とは面白い話を用意することではなく、相手の言葉を受け取ることなのかもしれない。

『好きな具、自分で決めていいんだよ』。凪の言葉に、透は初めて自分から『みかんの皮を少し』と頼んだ。香りが湯気に立ち、凪は大げさに親指を立てた。ほんの一言なのに、胸の奥が温かくなった。

食後、凪は空になった椀を重ねながら、次は自分の好きな浜を見せると言った。透は誘いへの返事を胸の中で何度も練習した末、『行ってみたい』と言う。凪は待たされたことなど気にせず、明日の集合時間を決め始めた。

翌朝九時、ガジュマルの下。目覚ましを二つ設定し、透は凪との約束を楽しみに眠った。

次回:第04話へ続く

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