【AI連載小説】潮風がほどく夏 第16話「八月踊りの輪」

今までのお話

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。

第16話 八月踊りの輪

集落の八月踊りの稽古で、人々は太鼓を囲み、唄を掛け合いながら輪になった。豊作への感謝や集落の結びつきを受け継ぐ大切な場だと徳一は話す。

踊りの足運びは単純に見えて、輪に合わせると難しかった。透が逆へ動くたび、肩と肩がぶつかる。それでも誰も流れを止めず、自然に場所を空けてくれた。

太鼓の響きが胸に残り、家へ戻っても足が拍子を刻んだ。透は動画を見返し、自分が輪の中で笑っていることに驚いた。東京の自分に見せても信じないだろう。

透は輪の外にいたが、凪が手招きした。動きを間違えると年配の女性が笑って教えてくれた。透は逃げずにもう一度踏み出し、終わった後、自分から『また教えてください』と言えた。

踊りの後、集会所で冷たい飲み物が配られた。透は教えてくれた女性の所へ一人で向かい、礼を言った。戻ると凪が待っていたが、何も手伝わなかったことが、今の透にはいちばん嬉しい応援だった。

太鼓の余韻に合わせ、布団の中でも足先が動いた。輪の外で見ていただけの自分へは、もう戻れない。

次回:第17話へ続く

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