【AI連載小説】潮風がほどく夏 第27話「帰る日が近づく」

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。
第27話 帰る日が近づく
荷造りする透へ、祖母は黒糖と島の菓子を持たせた。東京の友達へ渡せば話のきっかけになる、と言われ、透は以前なら困ったその提案を受け入れた。
畳の上に広げた服を畳むたび、部屋から夏が減っていった。透は土のついた帽子を洗わず、そのまま持ち帰ることにした。島の匂いまで落ちそうだった。
東京のクラスメイトへ連絡する画面を開き、『土産ある』と短く送った。すぐに返事が来た。たった四文字から会話が始まることを、今の透は知っている。
凪とは一日会えなかった。別れが近いから避けられているのかと不安になったが、追及するメッセージは送らなかった。相手にも言葉を選ぶ時間があると、今は知っている。
凪から連絡がない夕方、透は一人で共同売店へ行った。店番の女性へ挨拶し、家族への土産を相談する。会話を終えて外へ出た時、凪に見せたかったと思い、その気持ちの名を少しだけ理解した。
『土産ある』に笑顔の印が返った。透は画面を閉じず、奄美の何から話そうか楽しみながら迷った。
次回:第28話へ続く