【きょうの一節】マンコイ となかぬりじゅせば~ 2026年9月23日
マンコイの一節
今回取り上げるのは、奄美大島北部に伝わるシマ唄「マンコイ」の、海へ乗り出す場面を歌った短い一節です。
となかぬりじゅせば
しゅかぜマイタイたのも
一節の意味
鹿児島県の「歌い継ぐ奄美の島唄~選曲集~」では、この部分を「渡中(海)に乗り出せば、あとは潮風を頼りにします」と訳しています。
港を離れて海へ出たあとは、潮と風を頼りに進むほかない――そんな船旅の情景です。見送る人のいる岸から離れ、自然の力に身を委ねていく心細さと覚悟が、短い言葉に重なります。
港と海を結ぶ別れの唄
この節の前には、港口まで愛しい人に送られる場面が歌われています。島々を船で行き来してきた奄美の暮らしにおいて、港は人と人が別れ、海へ踏み出す境目でもありました。この一節は、陸に残る人とのつながりから、風を頼る航海へと移る瞬間を伝えています。
鹿児島県の曲目解説によると、「マンコイ」という語の意味には諸説があり、「招く」に関係するという説や、男女が仲良くなることを表すという説などが紹介されています。また、笠利町の民俗芸能「節田マンカイ」や、秋名の行事「平瀬マンカイ」との関連も考えられていますが、由来は確定していません。
ことばと伝承のゆれ
奄美のシマ唄は、同じ曲でも地域、集落、歌い手、採譜や文字起こし、演唱の伝統によって、言葉や発音、節回し、意味の捉え方が異なることがあります。ここでは鹿児島県公開資料の奄美大島北部版に沿って紹介しました。