よいすら節
【歌詞】
1
舟ぬ 高艫(たかどぅも)に ヨーイスーラ
舟ぬ 高艫(たかどぅも)に ヨーイスーラ
(スラヨーイスーラー)
白鳥(しりゅどぅり)ぬ 座(い)ちゅり スラヨーイスーラヨーイ
(スラヨーイスラヨーイ)
白鳥(しりゅどぅり)や あらぬ ヨーイスーラ
白鳥や あらぬ ヨーイスーラ
(スラヨーイスーラー)
姉妹神(うなりがみ)がなし スラヨーイスーラヨーイ
2
我(わ)ぬや 此(く)ぬ シマに ヨーイスーラ
我ぬや くぬ シマに ヨーイスーラ
(スラヨーイスーラー)
親(うや)はろじ うらぬ スラヨーイスーラヨーイ
(スラヨーイスラヨーイ)
我ぬ 愛(かな)しゃ しゅんちゅうどぅ ヨーイスーラ
我ぬ 愛しゃ しゅんちゅうどぅ ヨーイスーラ
(スラヨーイスーラー)
親(うや)はろじ なりゅり スラヨーイスーラヨーイ
(スラヨーイスラヨーイ)
3
親(うや)はがり 鳥(どぅり)ぐゎ 親(うや)欲(ふしゃ)っち 泣きゅり
わぬも 親はがり 親(うや)欲(ふしゃ)っち 泣きゅり
4
生まれ運(ぶ)や あてぃも 育(すだ)ち運(ぶ)ぬ 無(ねえ)だな
親二人(うやたあり)ぬ 中んてぃ 育ちみり 欲し(ぶし)ゃや
5
千鳥(ちじゅら)浜 千鳥 うらや ぬが 泣きゅり
母親(あんま) 面影(うむかげ)ぬ たっちどぅ また泣きゅり
6
母親(あんま) 面影(うむかげ)や 時々(とぅきどぅき)どぅ たちゅり
加那が面影(うむかげ)や 朝(すぃか)ま 夕(ゆう)ま たちゅり
7
面影(うむかげ)ぬ たてぃば 泣きがでぃや すぃるな
泣ちゅてぃ 思(うめぇ)出(じゃ)すぃば 勝(まさ)てぃ またたちゅり
8
面影(うむかげ)や たちゅり 浜下(はまう)りてぃ 見りば
千鳥(ちじゅら)鳴き声(ぐい)や 吾ぬが 伽(とぅぎ)なりゅり
9
松(まてぃ)ぬ 切り口に 朝(あさ)寝しゅる鳥(とぅり)ぐゎ
朝露に濡りてぃ 飛(とぅ)びや また ならぬ
10
俵米(たわらくみぃ)かむぃてぃ 心(くくる)ぬくぬくとぅ
米(くみぃ)ぬ粒 如(ぐとぅ)に 拝(うが)でぃ おしょおろ
11
米(くみぃ)ぬ粒 数(かず)や 汝等(なきゃ)が きむ心(ぐくる)
吾ぬや 深々(ふかぶか)とぅ きむに またすみぃろ
【意味】
※1 舟の艫に白い鳥がとまっている あれはただの白い鳥ではない鳥の姿をしたうなり神さま
うなり神=女姉妹の霊が男兄弟の旅の安全を守ってくれるという、うなり神信仰に由来
※2 私が今住んでいる所に親や親せきはいませんが、私をかわいがり親しくしてくれる人こそが親親戚だと思っています。
※3 親とはぐれた小鳥よ 親の愛情が欲しいと泣いているが、私も親はぐれで親欲しいと泣いているのです。
※4 この世に生まれ運はあったが、境遇には恵まれなかった。しかし、両親の愛情を受けて育ちたいものだ。
※5 浜千鳥よお前はなぜ泣いているのだ。私は母親のことが心配で思い出して泣いているのです。
※6 母親のことは時々は思い出すが、恋人のことは朝夕思い出すものです。
※7 色々思い浮かべて泣いたりしないでください。泣いて思い出すと一層募るのです。
※8 面影が立ってどうにもならず 一人浜に行って眺めていると十鳥が鳴いていたので、私のことを慰めてくれるのです。
※9 元気がない鳥が松の切り口に朝寝して露に濡れているが何か不幸な事でもあって、飛べないのではないか心配だ。
※10 大切なお米の俵を前にして心がとても温かくなっているが、この米の粒の数程にあなたを思っています。
※11 そのお米の粒の数程に私を思うあなたの御心を私は深く心に留めています。
【解説】
奄美の歴史と女性の精神的強さを象徴する、非常に奥深い唄です。
「よいすら節」と女性の守護神信仰
「よいすら節」には、別名「船ぬ高艫節(ふねぬたかともぶし)」という名前があります。この唄は、かつて命がけで海を渡った島民たちの「航海安全」を祈る、強い祈りの唄でした。
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「うなり神(姉妹神)信仰」がベース 奄美をはじめとする南西諸島には、「女性(姉妹)には、男性(兄弟)を災いから守る特別な霊力が宿る」という固有の信仰(うなり神信仰)が古くから根付いています。海に出る兄弟や夫の無事を祈り、守護できるのは女性だけだと信じられていました。
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歌詞に登場する「白い鳥」の正体 この唄の代表的な歌詞に、次のようなものがあります。
「船の高い舳先(へさき)に、白い鳥が止まっている。あれはただの鳥ではない、私を守ってくれるうなり神様(姉妹神)なのだ」
荒れる大海原を進む船の先端に止まった白い鳥を、自分を命がけで守ってくれている「姉妹や妻の霊魂の化身(守護神)」として捉え、感謝と恐れ多さを歌っているのです。
奄美のシマ唄を歌う女性唄者(うたしゃ)たちが、時にお腹の底から響くような凄みや、神がかった神聖さをまとって歌うのは、この「女性=守護神」という歴史的な精神世界が今も唄に息づいていることとも関係があるのではないでしょうか。