【AI連載小説】潮風がほどく夏 第23話「けんむんの話」

今までのお話

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。

第23話 けんむんの話

夜、徳一は森や川にいると伝わる妖怪けんむんの話をした。土地には、人が自然を恐れ敬い、境界をむやみに越えないための物語が残る。

徳一の語りは、怖い場面になるほどゆっくりになった。凪は身を乗り出し、透は笑いながらも窓の外を確かめる。森の暗さが、昼に見た森とは別の顔を持った。

話の結末を尋ねると、徳一は『話す人によって違う』と言った。正解が一つでないことを、透は以前ほど不安に思わなかった。違う語りを聞くために、また来ればいい。

凪は怖がらせようと窓を叩き、透は珍しく先に笑った。物語は本当か嘘かだけでなく、誰かが大事にした記憶を運ぶ。透は夏休みの作文に、島で聞いた声を書こうと決めた。

話を聞いた夜、凪はけんむんを探そうと言い出したが、透が『むやみに森へ入らない話だっただろ』と止めた。徳一は声を上げて笑う。凪もすぐ認め、二人は縁側から暗い森を眺めるだけにした。

暗い森から何かが見ている気がして窓を閉めた。怖さの奥には、もっと話を聞きたい好奇心が残った。

次回:第24話へ続く

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【AI連載小説】潮風がほどく夏 第22話「台風一過の手」

今までのお話

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。

第22話 台風一過の手

翌朝、道には枝や葉が散っていた。集落の人々は自然に集まり、声を掛け合って片づける。透も箒を持ち、知らない男性へ『こっちは僕がやります』と申し出た。

掃除の途中、知らない人から『東京の孫か』と声をかけられた。以前なら徳一の後ろへ隠れたはずだ。透は箒を止め、自分の名前まで名乗った。

凪は遠くから大声で褒めようとして、透に睨まれ口を閉じた。その代わり、すれ違いざまに小さく『やったね』と言う。相手が望む距離を、彼女も覚えてくれていた。

雨宿りの日の目標を思い出し、凪が離れた場所で丸を作る。透はもう、凪が隣にいなくても一言を渡せた。その成長が嬉しく、同時に夏の終わりが近いことが寂しかった。

片づけが終わると、集落の人が冷えた飲み物を配った。透へも『助かった』という声が次々に届く。返事をするうち、挨拶は試験ではなく、作業を一緒に終えた印なのだとわかった。

翌朝も片づけがあるかもしれない。疲れているのに嫌ではなく、自分を待つ役目が島にできた気がした。

次回:第23話へ続く

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