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最終更新日時: 2026年7月15日
奄美シマ唄の一節:「糸くり節」
今回取り上げるのは、奄美シマ唄の伝承歌として紹介されている糸くり節の短い一節です。糸を扱う仕事の歌でありながら、人と人との縁のはかなさまで重ねて読める言葉です。
縁ぬ切りりば
結ばらぬよ
この一節は、「縁が切れてしまえば、もう簡単には結び直せない」という意味合いで受け取れます。糸なら切れても結べるかもしれないけれど、人の心や関係が離れてしまうと、元どおりにするのは難しい、という戒めのような響きがあります。
一節の意味
「縁ぬ」は、人と人とのつながり、心の結びつきとして読めます。「切りりば」は「切れたなら」、「結ばらぬよ」は「結べないよ」という意味合いです。
糸くり節の歌詞では、糸が切れることと、人の縁が切れることが並べて歌われます。手元の糸は作業の中で結び直せても、人間関係のほころびは同じようには扱えない。そこに、労働歌としての実感と、暮らしの中の教訓が重なっています。
歌の背景
奄美シマ唄歌詞集の解説では、糸くり節は名瀬にあった薩摩藩の糸繰り所と関わる歌として説明されています。各集落から集められた糸を繰る厳しい労働の状況が歌われ、歌詞によっては砂糖きび労働を歌う形にもなり、「ウギ刈り節」や「心配じゃ節」とも呼ばれるとされています。
この背景を踏まえると、引用した一節は単なる恋や人情の言葉だけではありません。細く切れやすい糸を扱う手仕事の不安が、そのまま人の縁の不安へ移っていくところに、シマ唄らしい生活感があります。
シマ唄の中の教訓
奄美のシマ唄は、祝いの場や唄遊びで人をつなぐ音楽である一方、暮らしの苦労、労働、別れ、思いやりを短い言葉に残す文化でもあります。糸くり節のこの一節は、関係を粗末にしないように、という静かな教訓として読むことができます。
声に出して歌われると、言葉そのものの意味だけでなく、節回しや囃子によって、ため息のような心配、相手を思う慎重さも伝わってきます。
表記や意味のゆれ
奄美シマ唄は、地域、唄者、採譜、聞き書き、演奏の場によって、言葉の表記や発音、歌われる順序が変わることがあります。同じ糸くり節でも、糸繰りの歌として歌われる場合、砂糖きび労働の歌として歌われる場合など、伝わり方に幅があります。
ここでは、公開されている歌詞と解説をもとに、短い一節だけを引用し、現代語として読みやすい形で意味を添えました。
参考にした情報
歌詞は伝承歌として紹介されているものから、短い一節のみを引用しています。



