最終更新日時: 2026年8月26日

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。
第19話 タンカン色の返事
返事は祖母が剥いたタンカンを食べ終えるころ届いた。『ごめん。元気にしてれば平気だと思ってた。ちゃんと聞けばよかった』。
ガジュマルの下には、初めて会った日と同じ影が落ちていた。凪は目を合わせる前に、サンダルの先で小石を蹴った。いつもの彼女にも言いにくい言葉がある。
二人はすぐには笑えなかった。けれど互いの説明を遮らず聞き、最後に凪が『もう一回、友達からでいい?』と言った。透は『最初から友達だったの?』と返し、ようやく同時に笑った。
翌朝、ガジュマルの下で凪はいつもの勢いを少しだけ抑えて待っていた。透も謝り、嫌だった理由を言葉にした。仲直りは元通りになることではなく、前より相手を知ることなのだと二人は悟った。
仲直りした二人は、すぐ以前の調子へ戻ろうとはしなかった。凪は質問の前に『聞いていい?』と添え、透も嫌なら黙るのではなく言うと約束する。ぎこちなさは残ったが、その歩幅は前より確かだった。
凪は胸の前で小さく手を振った。透も同じ振り方を返し、直したばかりの関係を丁寧に持ち帰った。
次回:第20話へ続く



