最終更新日時: 2026年8月25日

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。
第17話 すれ違う潮風
翌日、凪は島の友人たちに透を紹介した。会話の速さについていけず黙る透を、凪が『この子、東京では友達少ないんだって』と悪気なく説明した。
凪の友人たちは親切だった。だからこそ、何を話せばよいかわからない自分が情けなかった。笑うタイミングを逃すたび、皆との距離が広がる気がした。
凪の言葉は事実だった。それでも、秘密ではないことと勝手に話されて平気なことは違う。透はそれを説明できないまま、いちばん刺さる言葉を選んでしまった。
胸の奥を勝手に開かれた気がした。透は『凪には関係ない』と言い残して帰った。追いかける声にも振り向けず、自己嫌悪と怒りが潮風の中で絡まった。
家へ帰った凪は、何度もメッセージを書きかけて消した。一方の透も、強い言葉を言った瞬間ばかり思い出して眠れない。互いを気にしているのに、近づく方法がわからない夜が、島へ来てから初めて長く感じられた。
『関係ない』という声が夜の静けさに蘇る。本当は誰より気にしてほしい相手だから、傷ついたのだ。
次回:第18話へ続く


