【AI連載小説】潮風がほどく夏 第20話「塩豚と台風支度」

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最終更新日時: 2026年8月27日

今までのお話

この作品はフィクションです。登場人物・出来事は創作です。実在の人物・団体とは関係ありません。文化・風習の描写には地域差や家庭差があります。

第20話 塩豚と台風支度

台風が近づき、祖父母は雨戸や庭の鉢を片づけた。凪の家も手伝い、停電に備えて水や灯りを確認する。島では台風への備えが暮らしの一部だった。

空はまだ青いのに、風だけが先に台風を知らせていた。店の棚から品物が減り、集落全体が静かに備えを始める。透も指示を待たず、軽い鉢を屋内へ運んだ。

凪の家の雨戸を閉めると、昼間なのに部屋が暗くなった。透は不安を隠そうとしたが、凪は得意げに懐中電灯を三本並べた。備えることは、怖くないふりをすることではない。

作業後、保存の知恵から生まれた塩豚の煮物を囲んだ。風の音に透が身を固くすると、凪が『怖いって言っていいよ』と言う。透は素直に『怖い。でも皆といるから大丈夫』と答えた。

食後、二人は雨戸の隙間から揺れる木々を見た。昼間に近所の家まで手伝いに回った疲れが、今になって腕へ重く残っている。凪はもらった黒糖を一つ透へ渡し、『備えたぶんだけ、待てるね』と囁いた。

屋根を鳴らす雨脚が強くなる。怖いと言えたことで、嵐の音はほんの少しだけ遠ざかった。

次回:第21話へ続く

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